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認知症について豊橋の不動産屋が考える ②

2022-04-14

前回は、認知症を患い「意思能力」を失った人が、不動産を売買できるのか。について考えてみました。

以下の、                                                   「意思能力」を失う前に事前準備(家族信託契約)ができる。                        事前準備が出来ない場合は、後見制度を利用する。                                                                             ことが、わかりました。

今回は、後見制度家族信託についてより詳しく、考えてみたいと思います。

後見制度

成年後見制度とは、認知症などを患って判断能力を失った人をサポートできるものです。

成年後見制度によって、以下のようなことが行えます。

  • 不動産・貯金などの財産管理
  • 遺産分割の協議
  • 介護施設・サービスに関する契約の締結 など

成年後見制度には、「法定後見制度」(ほうていこうけんせいど)と「任意後見制度」(にんいこうけんせいど)の2種類あります。

法定後見制度

家庭裁判所により選任された成年後見人等が、本人に代わり法律行為等を行うことができる制度です。

法定後見制度」では「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれていて、判断能力の程度等によってどの制度を利用できるか異なります。本人が意思能力を失っているケースであれば「後見」制度を利用することになります。

成年後見人は数日で選任されません。                                   家庭裁判に申立てをするまでにも色々と準備(書類作成など)が必要となりますので、申立てをしようと思ってから実際に後見人が選任されるまで、数か月かかると思います。                         また、親族以外の第三者が成年後見人に選任される割合が増えています。                   第三者とは、司法書士、弁護士、社会福祉士などです。

成年後見人の業務は不動産の売買だけではありません。                           本人が亡くなるまで、あるいは意思能力が回復するまで、成年後見人はその業務(身上監護、財産管理)を行うことになります。                                              不動産を売却したら成年後見人の利用を止める、ということはできません。                    第三者が成年後見人の場合、毎月一定の報酬を支払う義務があります。            

不動産の売却は、本人のためであることが必要です。                            本人が介護施設に入るための費用を捻出したり、生活費を捻出したりする等が挙げられます。もちろん、不動産を売却して得たお金は、本人のために使用することになります。                         そのため、家族の生活費や交際費のため等を理由として、不動産を売却することはできません。                                        また、本人のためであったとしても、生活資金が潤沢にあるような状況で、不動産を売る必要性が無いようなケースでは不動産を売却することはできないことがあります。

不動産売却時                                              不動産売却は家庭裁判所の許可が必要になります。                                      成年後見人が本人の居住用不動産を売却するときは、家庭裁判所の許可が必要となります。

     

任意後見制度」

任意後見制度は、将来的に意思能力を失なったときのために、後見する人と後見事務の内容を、事前の契約によって決めておくものです。

後見する人のことを、任意後見人と呼び、本人が後見人を選任します。(複数人可)                                「任意後見契約」の内容も、法律の趣旨に反しない限り自由に決めることができます。               契約は、必ず公正証書の作成をもって行う必要があります。

任意後見の契約締結後に本人の意思能力を失った段階で、任意後見人が家庭裁判所に申立てをし、任意後見監督人を選任してもらいます。                                          任意後見監督人は、後見人がちゃんと仕事をしているかチェックしていくことになります。この任意後見監督人の選任をもって、任意後見人は契約に定められた仕事を開始することになります。           

不動産を売却する代理権限が与えられている任意後見人であっても、本人名義の不動産を売却処分する目的としては、本人の今後の生活を営んでいく上でやむを得ないしかるべき理由があった場合に任意後見人として代理権を行使していくべきと考えられます。
任意後見人として、本人に不利益を生じさせないため、本人名義の不動産の売却にあたり、注意が必要となります。少しでも高額で有利な条件で売却出来るように努めること。                         知人等へ一般的な不動産売買価格より安い価格で売買契約を締結したり、任意後見人の親族等を買主として売買契約を行い利益相反行為にならないようにする。

不動産売却時                                              本人名義の居住用不動産を売却処分するにあたって家庭裁判所の許可は不要となります。
任意後見人に与えられた代理目録として居住用不動産を売却処分にあたって任意後見監督人の同意を特に必要としていない場合には後見監督人の許可なく不動産処分することも可能です。

注意ポイント
任意後見監督人の同意を特に必要としていない場合においても任意後見人としては本人の生活や身上に重大な影響を与えてしまう点や不動産の資産価値の高さを考慮して慎重に任意後見監督人と十分な相談・協議をしながら不動産売却手続を進めていく手順をとっていく必要があります。

家族信託

家族信託とは、財産の所有権のうち、 管理する権利だけを信頼できる家族に移す(託す) ことです。              本人が認知症を患う前に家族が財産管理ができる方法です。                        「意思能力」に左右されない財産管理を実現できる手段として、家族信託は非常に有効です。
財産管理や処分の方向性について、自分の意思を最大限反映できます。                                                                                                                                                                                       

家族信託での登場人物は、主に「委託者」「受託者」「受益者」の三者です。                 「委託者」は、自分が所有する財産の管理を任せる人                              「受託者」は、管理を任される人                                    「受益者」は、信託で生じた利益を受ける人

「委託者」は自分以外を「受益者」に指定する以外に、自分自身を「受益者」に指定もできます。                「委託者」が亡くなった後も、「受託者」と「受益者」を決めることができます。               つまり、遺言書の代わりになります。                                   遺言書では、「自分の財産を最初に相続させる人」を決めることになります。                  家族信託なら、自分が亡き後の、その次の世代の相続についても指定できます。                                                      
しかし、「委託者」が認知症になってからでは家族信託は利用できません。                  家族信託は、元気なうちにできる財産管理方法です。そのため、財産管理や処分の方向性について、意思を最大限反映できます。                                              健康なうちに家族信託契約を結んでおけば、認知症になったときに財産の管理や処分に困るリスクをかなり軽減できると思います。

しかし、家族信託自体が比較的新しい手法(2019年)のため、精通している専門家の数がまだまだ少ないのが現状です。誰でも詳しいわけではありません。                                本人やご家族の意向に従って家族信託をオーダーメイドで組成して様々な打ち合わせや手続きを行っていく必要があり、相応の時間や費用がかかってしまうこともあるかもしれません。時間をかけて家族会議をすることも重要になると思います。
認知症対策の検討にあたっては贈与・遺言・成年後見・任意後見といった従来の制度を利用した方が良い場合もあるかもしれません。
相談するなら、家族信託に詳しくて経験のある方に頼みましょう。

まとめ

不動産取引の視点から、認知症について考えてみました。                            不動産売買時の問題点もありますが、様々な対策、対応が出来ることもわかりました。               先ずは、知ることが大事です。                                                      是非、アローエステートにご相談ください。お待ちしております。