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空き家・空き地問題について考える 1

2022-07-08

相続・不動産(土地・家)の売却は、豊橋のアローエステートまで

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先月、某タレントさんが実家じまいについて話をされていました。                               実家じまい=相続した空き家の売却の話です。                                   実家じまいをするまでに、25年かかり、その期間の悩み、ご苦労を話しておられました。             同じ思いをされている方もいらっしゃると思います。                  

国(国土交通省)は、空き家についてこのように発表しています。

本格的な人口減少社会を迎える中、今後とも我が国が経済成長を実現するためには、各分野において生産性の向上を図ることが必要です。空き家が増え続ける中、不動産分野における生産性の向上を図り、我が国の経済成長に貢献するためには、空き家・空き地等の不動産ストックについて、需給のミスマッチの解消や新たな需要の創出等により、その流動性を高め、有効活用を推進する必要があります。

そして、総務省統計局では、5年ごとに全国の住宅や土地についての調査・統計をまとめ、最新結果である「平成30年住宅・土地統計調査」を発表しており、平成25年(2013)の調査時よりも26万戸空き家の数が増えており、3.2%増加しています。
また、総住宅数に占める空き家の割合である空き家率は、13.6%となっており、これは過去最高になっています。

空き家が増えることは、問題なのですが、なぜ、問題なのか考えてみたいと思います。

「令和元年空き家所有者実態調査」から見えてくる問題

空き家とは、現住居以外に所有している「居住世帯のない住宅」です。国土交通省が「令和元年空き家所有者実態調査」をしました。

  • 利用状況                                                  「二次的住宅・別荘用」が 25.8%                                    「貸家用」が 4.4%                                           「売却用」が 12.8%                                           「その他(物置、長期不在、取り壊し予定の空き家等)」が 52.8% 

その他の部類入る空き家は、貸しにも売りにも出されておらず、長期にわたって不在の住宅や、空き家の区分の判断が困難な住宅などです。

  • 建築時期                                                 昭和 56 年以降建築のものについては、全体の平均に比べて「二次的住宅・別荘用」の割合が大きくなっている。一方、建築時期が古いものほど、「その他」の割合が総じて大きく、「昭和 25 年以前」では 65.2%となっている。
  • 腐朽・破損の状態                                            腐朽・破損があるものは合わせて 54.8%                                 腐朽・破損がないものは 39.2%                                     調査時点で利用現況が「その他」の状況にあるものでは、腐朽・破損がある割合が大きく、64.2%となっている。建築時期別にみると、建築時期が古くなるほど、腐朽・破損があるものの割合が大きくなっており、昭和 25 年以前のものでは 76.3%、そのうち約 6 割の 43.8%に、建物の主要部分の不具合(屋根の変形や柱の傾きなど)が生じている。

空き家の5割以上が腐朽・破損を抱えています。

  • 最寄りの鉄道駅からの距離                                   「2,000m以上」が 39.9%と最も大きく、次いで「1,000~2,000m未満」が 21.5%、「500~1,000m未満」が 20.7%などとなっている。調査時点で利用現況が「貸家用」のものでは、駅から 1,000m未満の割合が大きく、合わせて 50.0%となっている。

空き家の約4割は最寄りの鉄道駅から2,000m以上離れている 

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  • 空きの家取得方法                                           「相続」が 54.6%                                          「新築・建て替え」が 18.8%                                      「中古の住宅を購入」が 14.0%                                     利用現況別にみると、「その他」の住宅では「相続」の割合が大きく、58.7%となっている。         建築時期別にみると、建築時期が古いものほど「相続」の割合が総じて大きくなっており、「昭和 25 年以前」では 78.7%となっている。
  • 登記または名義変更                                             空き家を取得した際に、登記の「名義変更を行った」または「新たに登記を行った」割合は合わせて 76.7%  「いずれも行っていない」割合は 15.3%                                 「その他」にあるものでは、「いずれも行っていない」割合が大きく 19.6%となっている。                取得方法別にみると、「相続」により空き家を取得した場合に、「いずれも行っていない」の割合が大きくなっており、17.8%となっている。                                      また、建築時期別では、建築時期が古くなるほど「いずれも行っていない」の割合が総じて大きくなっており、「昭和 25 年以前」では 18.8%となっている。

2割が、空き家を取得した際に登記の名義変更や新たに登記を行っていない

  • 賃貸・売却する上での課題                                       今後の利用意向が「賃貸」「売却」のものについて、賃貸・売却する上での課題              「買い手・借り手の少なさ」の割合が 42.3%                               「住宅の傷み」が 30.5%                                       「設備や建具の古さ」が 26.9%の順となっている。

売却や賃貸をするのに「買い手・借り手が少ない」「住宅が傷んでいる」「設備や建具の古い」

今後も日本の人口は減り続けることが予想されており、空き家の問題は今後より深刻化することが懸念されています。

空き家の原因は?

空き家が右肩上がりに増えてる原因を考えてみます。

  • 日本人は新築住宅を求める傾向にある                                  日本人は中古より新築住宅を求める傾向にあります。                           国土交通省の2013年のデータ(既存住宅流通シェアの国際比較)を見てみると、日本の新築住宅着工戸数は98万戸なのに対して既存住宅の流通量は17万戸と、わずか14.7%程度に留まっています。
  • 相続した家をなかなか解体できない                                    住まないとはいえ自分の生まれ育った家を解体したくないという想いから、相続した家をなかなか解体できないという人もいます。                                           某タレントさんも、このような想いがあったのだと推測できます。                     また、解体するにしても解体費用を負担するのが惜しいという想いもあるでしょう。             郊外の家では賃貸に出すことも難しく、活用されないまま空き家が残ってしまう要因となっています。
  • 解体すると固定資産税が高くなる                                    空き家問題を助長しているのが固定資産税の問題です。不動産の所有者は固定資産税を負担します。      固定資産税には土地の上に建物が建っていると最大で6分の1に軽減されるという軽減制度があります。     この制度のために、建物を解体すると固定資産税の負担額が最大で約4.3倍になってしまうという問題が生じます。そもそも建物を解体するにはお金がかかりますし、お金をかけて解体しても固定資産税が高くなるということであれば空き家のまま残しておくという選択をするのも理解できるのではないでしょうか。          

 こうした様々なことが要因となり空き家の数は増え続けています。

空き家の所有者が抱えるリスク

空き家の所有者が、空き家を長期間放置することで発生する問題を考えます。

リスク① ご近所トラブル

空き家はゴミの放置や不法投棄によって悪臭で近隣に迷惑をかける可能性があります。              また庭の雑草や樹木が道路や隣地に越境することで問題が発生します。                    越境した樹木が落葉樹であれば、落ち葉も近隣に飛散することになります。                  最悪の場合、野良猫の死に場所となると、猫の死がいが集まるようになります。                空き家が「ご近所トラブル」の原因となることは多く、特に隣地には多大な迷惑をかける可能性があります。

リスク② 景観の悪化

建物が老朽化し、腐朽や破損が目立ち、雑草が生い茂った空き家があると見た目の印象が悪いため、辺り一帯の景観を悪化させます。これにより、周辺住民に嫌な思いをさせるだけではなく、家を売却するときに売却しづらくなる可能性があります。

リスク③ 周辺の建物や通行人に危害があった場合の責任

老朽化した建物を放置し、倒壊や災害時に屋根が飛ぶなどして周辺の建物や通行人に危害が及んだ場合、所有者が万全な対策を取っていないと認められれば責任を負わなければなりません。

リスク④ 犯罪の温床となり、治安悪化につながる

空き家になり人が近寄らなくなったときに起こる問題が、犯罪の温床になるということです。放置された空き家は犯罪者でも簡単に侵入できてしまい、拠点とされてしまうことがあります。ホームレスが棲みつくケースや、放火されてしまうケースも考えられます。
空き家が実際にオレオレ詐欺等の詐欺行為を行う組織に悪用された実例もあります。              空き家は地域の「治安の悪化」の原因にもなりかねないという問題を抱えています。

リスク⑤ 住宅の価値が下がる

使われなくなった建物や住宅設備は劣化が早いため、空き家として放置すると住宅の価値が下がってしまいます。庭の草むしりなど、住んでいれば気付いた時に手入れすることもできますが、遠くに住んでいるとこまめに管理できないという理由もあるでしょう。

将来売却するつもりでも、一定期間空き家にすることで建物自体の傷みや劣化が進み、売却価格が大きく下がってしまうことも珍しいことではありません。

リスク⑥ 有効活用されないことによる機会損失

売却や賃貸住宅として貸し付けるなど有効活用すれば得られるはずだった利益も、放置することで逆に出費が増える事例もあります。所有者にとっては機会損失だといえます。

リスク⑦ 特定空き家に指定されてしまう可能性がある

政府も空き家問題の解決に向けて、2015年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」通称「空家法」を成立させ、適切に管理されていない空き家に対して、市町村(自治体)による特定空家への指定や、立ち入り調査、勧告、命令や強制執行などをできるようにしました。

まとめ

空き家問題とは、適切な管理が行われていない空き家がもたらす、所有者ではない、近隣住民や地域住民に及ぶ影響のことです。                                               長くなりましたので、次回でリスク⑦「空き家対策推進に関する特別措置法」について考えてみたいと思います。